デレクターズレポート 救急隊員へのバトン(バイタルサイン)

本日のデレクターズレポートは民間ボランティアの皆さんが知っているようで意外と知らない民間ボランティア隊員から救急救助隊員へのバトン方法をわかりやすく?ご説明させていただきたいと思います。

 

まず倒れている方を見つけてから救急車(救急・救助隊員)が来るまで何をすればいいのか?そして救急隊員に何を伝えればいいのか?をCDAGJ現役救急隊員のデレクターからのアドバイスも含めお伝えさせていただきたいと思います。

 

まず本日のキーワードバイタルサインとは?

バイタルサイン(Vital signs)のバイタルとは「生命維持に必要な」「命にかかわる」という意味となり、バイタルサインとは生命兆候「生命維持に必要な徴候」という意味で人の生命にも関わる最も重要な情報となります。

医療現場でのバイタルサインとは 血圧・脈拍・呼吸・体温の4つでこれに意識レベルを付け加えます。

民間ボランティアの皆さまが救急隊にこれだけの情報を伝えられればファーストレスポンダーとしての仕事は合格点80点と言えるでしょう。

次に現場に居合わせた民間ボランティア隊員がお手伝い出来る事
傷病者に触るという事は、感染の可能性があるので出来たら、常に非滅菌手袋を持っていた方が良いと思います。
救助者が感染してしまったら、本末転倒ですから。

内因性

意識あり:呼名に反応あり、話をする事が出来れば、名前、生年月日、住所、電話番号、主訴、既往歴(病歴)、発症時間などを聞いてメモしておいてくれると助かります。

 意識なし:呼名に反応なし、普段通りの呼吸していれば昔でいう回復体位で救急車を待てば良いですが、いざという時に近くにAEDがあれば傍に持ってきておいた方が良いと思います。AEDパットを装着しても良いですね。
呼名に反応なく、普段通りの呼吸がなかったら、胸骨圧迫を開始し、AEDを手配、届いたらすぐにパットを装着ですね。言うまでもなく、胸骨圧迫開始時間、ショックの時間は重要です。

あと、目撃の有無もすごく重要です。

発症から何分経っているかで救命のチャンスが大きく変わります。
※呼名に反応がなかったら、まず119番通報をして下さい。

外因性
交通事故:傷病者がお話出来るのであれば、聞く事は内因性と同じ、あと出血していたら止血をお願いします。
意識がない場合の気道確保に関しては、下顎挙上という方法をとるため、無理にやらなくても大丈夫です。

 

 

外傷は、頸椎損傷の可能性が否定できないため、頭部後屈顎先挙上法はやりません。
外因性の場合は警察も現場に来るので、メモは同じ物が2部用意できれば、良いですね。
傷病者数の把握、我々も現場で確認はしますが何人負傷者がいるかで救急車の台数も変わります。
救助、救出が困難であれば、二次災害の危険もあるため無理に頑張らなくても大丈夫です。

 油漏れ等の情報、事故車両がどういう状態にあり、交通渋滞の情報、消防車や救急車が現場に近づけるのか等の情報は重要です。

 

※頭部後屈顎先挙上法(あご先を持ち上げるようにして頭を後ろに反らす方法)・下顎挙上法(あごを上げる方法)

 

 

ここまでできれば95点 優等生です。

 

プラス知識として 脈拍に関して、橈骨で触れるのか、総頸動脈で触れるのかと言うことも重要です。

 

橈骨で触れれば、血圧が80、総頸動脈が触れたら60はあるという目安になりますが、緊迫した状況でそれを正しく評価するのは、かなり難しいです。

 

 

※ 基本的にemergencyでは、救急隊に伝える血圧は上だけで大丈夫です。

 

 

 

 


生命の危険信号となるバイタルサインを覚えておきましょう。


 

   血圧:収縮期血圧60mmHg 未満

     脈拍:1分間40回より少ない徐脈 頻脈120回/分以上

     呼吸:1分間以上無呼吸

     体温:35度以下または42度以上

 

意識:刺激しても覚醒せず、全く動かないという状態は危険信号です。

これだけの知識と駆け付けた救急隊員にバイタルサインを伝えられれば民間ボランティア隊員としては完璧(100点)です。

参考にされてみてください。

                                              救急救命ディレクター